『彼のオートバイ、彼女の島』について
『彼のオートバイ、彼女の島』は1977年1月号に角川書店の文芸雑誌である『野性時代』から発表され、単行本としては同年8月に出版された長編恋愛小説です。
小説の作者は片岡義男氏で、この小説を用いて映画化したのが大林宣彦監督となります。
ちなみに、小説の方は続編がありそちらは『彼のオートバイ、彼女の島2』というシンプルな名前で1,986年に角川文庫から出版されています。
映画の方が公開されたのは1986年4月のことなので、原作となる小説が誕生してから約10年の歳月が経っていることがわかるでしょう。
これにはいくつか理由がありますが、やはり1977年に松竹が映画化しようとしたのに製作中止になったことが大きいのでしょう。
映画化の上で大事なヒロイン役は原田貴和子氏が起用された作品でもあります。
あらすじ
東京のバイク乗りであり主人公のコオが夏の初めに信州の峠に旅に出たところからスタートします。
そのたびの道中にミーヨと出会ったコオはバイクに関することで話題が弾んで仲良くなり、帰省後も電話や手紙でやりとりを行う仲となったのです。
その後ミーヨからミーヨの実家である瀬戸内海の島に誘われ、本人も乗り気になりオートバイで訪れることになりました。
ここまでは順調に仲を育む二人ではありましたが、彼女の免許を取得したいというお話から少しずつ雲行きが怪しくなります。
一緒に走りたいという気持ちから中型免許を取得したヨーコはすぐに大型免許取得のために動き出したのですが、怪我の心配などやコオの友達のアドバイスなどから大型取得を危険だから遅らせようとするのです。
そのままこじれてしまう両者ですがはたして二人はよりを戻せるのか、無事に二人でバイクに乗って楽しめるのか、どうなってしまうのでしょうか。
作中に登場するバイク
この物語はバイク乗りとバイクに惹かれる少女のお話です。
つまり、ある意味で主人公はバイクと言えるでしょう。
小説でも言及されていましたが、主人公のコウが乗っていたバイクはカワサキの『650RS・W3』です。
小説で文字にされているように燃料タンクに赤と白が入っている濃紺を基調にしたバイクとなっています。
イメージがし難いという方は1960年代にカワサキから初めて出た4サイクルのバイクであるWシリーズの後継機と言えばわかりやすいでしょう。
まとめ
いわゆるバイクが好きな青少年たちと一人の少女を中心とした青春物語であり、こういった青春を謳歌したいまたはしたかったという人達にとってまぶしくそして魅力的な世界観がある映画であり小説でした。
バイクを中心とした青春物として見た時に、今でも通じる物がある作品として仕上がっていますので、青春物やバイク物を見てみたいという方は抑えておきたい作品の一つとなっています。