あらすじ
「トロン:レガシー」(2010年)は、1982年に公開された映画「トロン」の続編で、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが製作したSFアクション映画です。主人公は前作のヒーロー、ケビン・フリン(ジェフ・ブリッジス)の息子サム・フリン(ギャレット・ヘドランド)。彼は忽然と姿を消した父の行方を探しているうちに、奇妙なコンピュータ世界「グリッド」に迷い込みます。そこではプログラムたちが具現化し、光のアーマーと武器で戦う独自のルールが存在し、人間であるサムは危険なゲームに巻き込まれてしまうのです。
スタイリッシュかつミニマルな空間デザインと、「ダフト・パンク」によるエレクトロサウンドが相まって、近未来感あふれる世界を構築しています。父の宿敵となったクルー(CLU)の支配に立ち向かうサムの行動が作品の軸となり、家族の絆や自己発見といったテーマがドラマを支えます。
作中に登場するバイクについて
「トロン:レガシー」で語るべき乗り物といえば、まずライトサイクルです。バーチャル世界グリッドで使われるこのバイクは、光のラインを残しながら高速度で走り、相手の軌跡に触れた瞬間に「撃破」されるという独特のゲームルールが設定されています。前作から大幅に進化したCG技術を使い、より滑らかなフォルムと光の演出が加わった結果、視覚的インパクトが一段と強くなりました。曲線を描くサイクルの走行シーンは、まさに“近未来のレース”を体現するような疾走感を生み出しています。
さらに、本作ではライトサイクル以外の乗り物、たとえばライトジェットやライトランナーなど、さまざまなメカが登場し、バーチャル空間のバトルを多彩に彩っています。これらの乗り物はデザインの統一感が図られ、淡い光と漆黒のコントラストが独特のSF美を形成しています。
まとめ
「トロン:レガシー」は、デジタル空間を舞台にした壮大なファンタジー作品であり、映像美と音楽の融合が極めて高い完成度を誇ります。ライトサイクルの近未来的なデザインは現実世界のバイクとは大きくかけ離れていますが、SF好きやライダーであればそのカッコよさに魅了されること間違いありません。親子の絆を巡る物語を軸に、スタイリッシュな戦闘シーンやクールなサウンドトラックがバランスよく組み合わされ、観る者を没入させる世界観が構築されています。前作「トロン」を観ていなくても楽しめるように作られていますが、両作を続けて観ると、技術進歩やデザインの変遷を比較できる点でも興味深いです。SFアクション映画の中でも独特の位置を占めるシリーズであり、光と音が織り成すサイバースペースの美しさを存分に堪能できる作品といえます。